電気事業法、電気工作物 電験三種 法規

電気事業法や電気工作物に関して理解しやすく書いている記事です。
こんな人におすすめ
  • 電気工作物を理解したい
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電気事業法


電気事業法は「電気事業および電気工作物の保安の確保」について定められている法律です。

電気事業法第1条
この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによつて、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。

法律の目的を達するために事業規制、保安規制があります。
事業規制は国の直接監督によるものです。
電気事業の創業・廃止の許可、電気事業の供給規制、公益特権規定など。
保安規制は事業用電気工作物と一般用電気工作物による違いがあります。重要項目なので詳しく見ておいたほうがいいです。

電気事業法施行規則

第1条
「変電所」とは、構内以外の場所から伝送される電気を変成し、これを構内以外の場所に伝送するため、又は構内以外の場所から伝送される電圧十万ボルト以上の電気を変成するために設置する変圧器その他の電気工作物の総合体(蓄電所を除く。)をいう。
「送電線路」とは、発電所相互間、蓄電所相互間、変電所相互間、発電所と蓄電所との間、発電所と変電所との間又は蓄電所と変電所との間の電線路(専ら通信の用に供するものを除く。以下同じ。)及びこれに附属する開閉所その他の電気工作物をいう。
「配電線路」とは、発電所、蓄電所、変電所若しくは送電線路と需要設備との間又は需要設備相互間の電線路及びこれに附属する開閉所その他の電気工作物をいう。
(一部抜粋)

電気工作物


電気工作物とは発電、変電、送電、配電又は電気の使用のために設置する工作物(機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路等)のことで、危険度の低い一般用電気工作物と危険度の高い事業用電気工作物があります。事業用電気工作物は電気事業用電気工作物と自家用電気工作物に分けられます。

一般用電気工作物

電気事業法第38条で、一般用電気工作物は次のように定義されています。

一般電気事業者から 600[V]以下の電圧で受電し、その受電の場所と同一の構内においてその受電に係る電気を使用するための電気工作物構内に設置し、構内の負荷にのみ電気を供給する小出力発電設備設備爆発性または引火性のものが存在する場所でないこと。
尚、「小出力発電設備」とは、600[V]以下の電気を発電する電気工作物です。ただし、複数設置したときの出力の合計が 50[kW]以上となるものは除きます。小出力発電設備は、比較的簡易な保安でも設置可能な分散型発電設備として、電気事業法施行規則第48条で次のように規定されています。
電圧600V以下の発電用の電気工作物であって、以下に掲げるもの。
太陽電池発電設備であって出力50kW未満のもの
風力発電設備であって出力20kW未満のもの
次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力20kW未満のもの
 a. 最大使用水量が毎秒1m³未満のもの(ダムを伴うものを除く。)
 b. 特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの
火力発電設備であって出力10kW未満のもの
次のいずれかに該当する燃料電池発電設備であって、出力10kW未満のもの
 a. 固体高分子型又は固体酸化物型の燃料電池発電設備であって、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が0.1Mpa(液体燃料を通ずる部分にあっては、1.0Mpa)未満のもの
 b. 道路運送車両法第二条第二項に規定する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)に設置される燃料電池発電設備(当該自動車の動力源として用いる電気を発電するものであって、圧縮水素ガスを燃料とするものに限る。)であって、道路運送車両の保安基準第十七条第一項及び第十七条の二第五項の基準に適合するもの
発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第七十三条の二第一項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力10kW未満のもの

事業用電気工作物

事業用電気工作物は、「一般用電気工作物以外の電気工作物」で、電気事業用電気工作物と自家用電気工作物に分けられます。
事業用電気工作物を扱う業者は、電気主任技術者を置いて運用する必要があります。

第一種電気主任技術者
 すべての電気工作物の工事、維持及び運用
第二種電気主任技術者
 17万ボルト未満の電気工作物
第三種電気主任技術者
 5万ボルト未満の電気工作物
 出力5000kW以上の発電所を除く

低圧
 交流 600V以下
 直流 750V以下
高圧
 交流600V、直流750Vを超え7000V以下
特別高圧
 交流、直流とも7000Vを超える電圧

標準電圧
100V 101V±6Vを超えない値
200V 202V±20Vを超えない値

国の直接監督


一定規模以上の電気工作物の設置や変更の工事をする際は、工事計画を経済産業大臣に事前に認可申請または届け出が必要です。完成後には使用前検査に合格しないと使用できません。
電気事故が発生した場合は、事故の種類により経済産業大臣または経済産業局長に報告しなければなりません。
報告方式は速報(48時間以内)と詳報(30日以内)があります。
詳しく見ておいたほうがいいです。

全部を覚えようとするのはなかなか大変なので、過去問で頻出部分(どの部分が重要なのか)を確認して、その条文を中心に理解しておけば合格点には十分届きます。
 

電験三種 法規 過去問題 電機関連法規


電験三種の過去問題(電気技術者試験センター作成)を解くことで、理解しているかどうか確かめましょう。

平成15年(2003年) 法規 問1

次の文章は、「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」に基づく電圧に関する記述である。

電気事業者(卸電気事業者及び特定規模電気事業者を除く。)は、その供給する電気の電圧の値をその電気を供給する場所において、下表の右欄の値に維持するように努めなければならない。

h15houki01.png

(ア)、(イ)及び(ウ)に記入する数値として、正しい組み合わせはどれか。
(1) 100 4 200
(2) 100 5 200
(3) 101 5 202
(4) 101 6 202
(5) 102 6 204

平成15年(2003年) 法規 問1 解説

100[V] ( 101 )[V]の上下( 6 )[V]を超えない値
200[V] ( 202 )[V]の上下20[V]を超えない値
電気事業法施行規則をご覧ください。
答えは (4)

平成21年(2009年) 法規 問1

次の文章は、「電気事業法」の目的についての記述である。

この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持および運用を( ア )することによって、( イ )の安全を確保し、及び( ウ )の保全を図ることを目的とする。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
h21houki01.png

平成21年(2009年) 法規 問1 解説

この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持および運用を規制することによって、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。
答えは (3)
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