配電線路 樹枝状方式、環状方式の電圧降下

樹枝状方式(分岐式)、環状方式(ループ式)の配電線路の電圧降下について理解しやすく書いている記事です。
こんな人におすすめ
  • 分岐負荷の電圧降下を知りたい
  • ループ系統の電圧降下を知りたい
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分岐式の電圧降下


電圧降下の式は
RIcosθ+XIsinθ [V]
三相3線式だと$\sqrt{3}$倍です。

この式で、$I\cosθ$は有効電流、$I\sinθ$は無効電流です。
分岐負荷
図のように有効電流分と無効電流分に分割します。
最初の電圧をV、一つ目の分岐部分を$V_1$、二つ目を$V_2$、
抵抗を$R_1$、$R_2$、リアクタンスを$X_1$、$X_2$とすると
$V_1=V-{R_1(I_1\cosθ_1+I_2\cosθ_2)+$
 $X_1(I_1\sinθ_1+I_2\sinθ_2)}$ [V]
$V_2$は
 $V_2=V_1-{R_2I_2\cosθ_2+X_2I_2\sinθ_2}$ [V]

ループ系統の電圧降下


ループ系統
負荷の力率は1(100%)です。

「この回路のB点の電圧を求めよ。」という問題が出たとします。
回路を一周すると電圧降下が0であることを利用します。

F→Aの方向に電流$I$が流れると仮定します。
4I+3(I-1)+2(I-3)+1(I-6)=0
I=1.5 [A]
ループ系統2
B点の電圧は
100-4×1.5+3×0.5=92.5 [A]

電験三種 電力 過去問題 送配電


電験三種の過去問題(電気技術者試験センター作成)を解くことで、理解しているかどうか確かめましょう。

平成12年(2000年) 電力 問12

図の単線結線図に示す単相2線式の回路がある。供給点Kにおける線間電圧 VK は 105[V]、負荷点L、M、Nには、それぞれ電流値が 40[A]、50[A]、10[A]で、ともに力率 100[%]の負荷が接続されている。
回路の1線当たりの抵抗はKL間が 0.1[Ω]、LN間が 0.05[Ω]、KM間が 0.05[Ω]、MN間が 0.1[Ω]であり、線路のリアクタンスは無視するものとして、次の(a)及び(b)に答えよ。
h12denryoku12.png
(a) 供給点Kと負荷点L間に流れる電流 I[A]の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1) 30 (2) 40 (3) 50 (4) 60 (5) 100

(b) 負荷点Nの電圧[V]の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1) 97 (2) 98 (3) 99 (4) 100 (5) 101

平成12年(2000年) 電力 問12 解説

(a)
キルヒホッフの法則より、閉回路の起点力の総和と電圧降下の和は等しいので、回路を一周すると電圧降下は0になります。

回路を時計回りに計算します。
0.1I+0.05(I-40)-0.1(50-I)-0.05(100-I)=0
I=40 [A]
答えは (2)

(b)
N点の電圧$V_N$は、K店の電圧105[V]から電圧降下分を引けばいいだけです。
K-L間の電圧降下は
 2×0.1×40=8 [V]
L-N間の電圧降下は
 2×0.05×(40-40)=0 [V]
$V_N=105-8=97 [V]
答えは (1)

平成16年(2004年) 電力 問14

図のような三相3線式配電線路で、各負荷に電力を供給する場合、全線路の電圧降下[V]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、電線の太さは全区間同一で抵抗は 1[km]当たり 0.35[Ω]、負荷の力率はいずれも 100[%]で線路のリアクタンスは無視するものとする。
h16denryoku14.png
(1) 19.3 (2) 22.4 (3) 33.3 (4) 38.5 (5) 57.8

平成16年(2004年) 電力 問14 解説

線路の抵抗をR[Ω]、リアクタンスをX[Ω]、流れる電流を I [A]とすると、
三相3線式の電圧降下は
$V=\sqrt{3}I(R\cosθ+X\sinθ)$ [V]
と表されます。
力率が100%というのは「sinθ=0」のことなので、線路のリアクタンスは無視できます。
$V=\sqrt{3}IR$ で求められます。

電源から900mの抵抗は
 0.35×0.9=0.315 [Ω]
500mの抵抗は
 0.35×0.5=0.175 [Ω]

全線路の電圧降下は
 $\sqrt{3}×50×0.315+\sqrt{3}×20×0.175$
 $≒33.3$ [V]
答えは (3)
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