変圧器の並行運転、負荷分担 遮断器の短絡容量

2台以上の変圧器で負荷に電力を供給するときは、並行運転(並列運転)します。遮断器は負荷電流の開閉能力以外にも三相短絡時の三相電流を遮断する能力も必要です。
それらについて、理解しやすく書いている記事です。
電験三種(電力)の過去問題も書いているので、解いてみてください。
こんな人におすすめ
  • 変圧器の並行運転とは?
  • 遮断器の遮断容量や短絡容量を知りたい
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変圧器の並行運転


変圧器の並行運転
並行運転は、各変圧器が要領に比例した電流を分担して、循環電流が流れないようにする必要があります。
電験三種では、循環電流の計算問題は出ないはず(?)です。

並行運転の条件
  1. 極性が一致する(循環電流を流れないようにするため)
  2. 巻数比が等しい
  3. 巻数抵抗とリアクタンスの比が等しい
  4. インピーダンス電圧降下が等しい
  5. 三相変圧器の場合は相回転方向と各変位が等しい

変圧器の負荷分担


並行運転している変圧器の分担容量はインピーダンスに反比例します。
変圧器並行運転
$P_A=P×\displaystyle \frac{ Z_B }{Z_A + Z_B}$
$P_B=P×\displaystyle \frac{ Z_A }{Z_A + Z_B}$
$I_A=I×\displaystyle \frac{ Z_B }{Z_A + Z_B}$
$I_B=I×\displaystyle \frac{ Z_A }{Z_A + Z_B}$
普通に分流の計算でいけるということです。
現実的には電験の試験でそのままの数字で計算できる問題は出ません。

パーセントインピーダンス(百分率インピーダンス)は変圧器などの特性を表す数値の一つです。変圧器に定格電流を流すと内部インピーダンスで電圧降下を起こし、この電圧降下を定格電圧(定格相電圧)に対する百分率で表したものです。
パーセントインピーダンス

パーセント(百分率)にしておくことで、電圧、電流が異なる状況でも比較できます。
多数の変圧器がある電気系統でも容易に電圧降下や短絡電流を計算できるようになります。非常に面倒な計算の手間を簡略化できるということです。
各%Zを同一基準の換算値にしてから計算します。

負荷分担
基準容量$P_{A1}$に換算
$P_A=P×\displaystyle \frac{ \%Z_B(P_{A1}/P_{B1})}{\%Z_A + \%Z_B(P_{A1}/P_{B1})}$ [VA]
$P_B=P×\displaystyle \frac{ \%Z_A }{ \%Z_A + \%Z_B(P_{A1}/P_{B1})}$ [VA]

遮断器の遮断性能

定格遮断容量

遮断器が既定の動作状態で遮断できる電流を定格遮断電流といいます。
定格遮断容量[V・A]は次式で表されます。
定格遮断容量
$\sqrt{3}$×定格電圧×定格遮断容量
遮断器の定格電圧は公称電圧の1.2/1.1倍

短絡容量

遮断器は三相短絡電流を遮断できる能力を備えている必要があります。短絡容量は、短絡事故時に遮断器を通る短絡電流を使って計算します。
三相短絡容量
 $\sqrt{3}$×短絡電流×線間電圧

百分率インピーダンス法による短絡電流、短絡容量


相電圧を$E$ [V]、線電流(負荷電流)を$I$ [A]、線路や変圧器内部などのインピーダンスをZ [Ω]とすると、
百分率インピーダンスは
$\%Z=\displaystyle \frac{ IZ }{E}×100$ [%]

短絡事故が起こったとします。
負荷がなくなり、短絡箇所に大電流が流れます。
短絡電流を$I_S$とすると、オームの法則より
$I_S = \displaystyle \frac{E}{Z}$
%Zを使って表すと
$I_S=\displaystyle \frac{ E }{\displaystyle \frac{E×\%Z}{I_n×100}}$
$=\displaystyle \frac{I}{\%Z}×100$ [A]
$\%Z=\displaystyle \frac{ I }{I_S}×100$ [%]

次に線間電圧で計算してみます。

回路の定格電圧(線間電圧)を$V$、定格電流(線電流)を$I$、系統(変圧器や線路)のインピーダンスをZ、短絡電流を$I_S$、短絡容量を$P_S$とします。
まず、百分率インピーダンスは
$\%Z=\displaystyle \frac{IZ}{\displaystyle \frac{V}{\sqrt{3}}}×100$ [%]
三相短絡電流$I_S$は
$I_S=\displaystyle \frac{V}{\sqrt{3}Z}$
この2式より
$\%Z=\displaystyle \frac{I}{I_S}×100$ [%]
三相短絡電流は
$I_S=\displaystyle \frac{I}{\%Z}×100$ [A]

この式の両辺に$\sqrt{3}V$を掛けると
$\sqrt{3}VI_S=\displaystyle \frac{\sqrt{3}VI}{\%Z}×100$
左辺は短絡容量$P_S$で、右辺は系統の定格容量となっています。

$P_S=\displaystyle \frac{系統の定格容量}{\%Z}×100$ [VA]
基準容量を使う場合は、基準容量に換算した合成%Zにします。
$P_S=\displaystyle \frac{基準容量}{基準容量換算の合成\%Z}×100$ [VA]
※説明のために書いただけなので単位が[VA]になってます。通常は[kVA]なので、容量を$10^{-3}$倍にしてください。
%Zの利点は途中に変圧器があっても(電圧が変わっても)問題なく計算できる点です。

電験三種 電力 過去問題 変電所


電験三種の過去問題(電気技術者試験センター作成)を解くことで、理解しているかどうか確かめましょう。

平成15年(2003年) 電力 問10

線間電圧 V[V]の三相3線式送電線で、負荷端から電源側をみた百分率インピーダンスを %Z とするとき、負荷端での三相短絡電流[A]を表す式として、正しいのは次のうちどれか。
ただし、基準容量は Pn[V・A]とする。
h15denryoku10.png

平成15年(2003年) 電力 問10 解説

定格電流(基準電流)$I_n$[A]は
$I_n=\displaystyle \frac{P_n}{\sqrt{3}V}$
三相短絡電流$I_S$は
$I_S=I_n × \displaystyle \frac{ 100 }{ \%Z }$
 $=\displaystyle \frac{P_n}{\sqrt{3}V}×\displaystyle \frac{100}{\%Z}$
答えは (1)

平成16年(2004年) 電力 問16

図のように、定格電圧66[kV]の電源から三相変圧器を介して二次側に遮断器が接続された系統がある。この三相変圧器は定格容量10[MV・A]、変圧比66/6.6[kV]、百分率インピーダンスが自己容量基準で7.5[%]である。変圧器一次側から電源側をみた百分率インピーダンス基準容量100[MV・A]で5[%]とするとき、次の(a)及び(b)に答えよ。
h16denryoku16.png
(a) 基準容量を 10[MV・A]として、変圧器二次側から電源側をみた百分率インピーダンス[%]の値として正しいのは次のうちどれか。

(1) 2.5 (2) 5.0 (3) 7.0 (4) 8.0 (5) 12.5

(b) 図のA点で三相短絡事故が発生したとき、事故電流を遮断できる遮断器の定格遮断電流[kA]の最小値として、正しいは次のうちどれか。ただし、変圧器二次側からA点までのインピーダンスは無視するものとする。

(1) 8 (2) 12.5 (3) 16 (4) 20 (5) 25

平成16年(2004年) 電力 問16 解説

(a)
変圧器一時側からみた百分率インピーダンス5[%]を、基準容量10[MV・A]に変換したときの百分率インピーダンスを$\%Z’$とすると、
$\%Z’=5×\displaystyle \frac{10}{100}=0.5$ [%]
変圧器二次側から電源側をみた百分率インピーダンス(%Z)は
$\%Z =0.5+7.5 =8.0$ [%]
答えは (4)
(b)
基準容量をP、定格電流を$I_n$、基準電圧をV、三相短絡電流を$I_S$とします。
$I_n=\displaystyle \frac{P}{\sqrt{3}V}$
 $=\displaystyle \frac{10×10^6}{ \sqrt{3}×6600}≒875$ [A]
三相短絡電流$I_S$は
 $I_S=I_n×\displaystyle \frac{100}{\%Z}$
 $=875×\displaystyle \frac{100}{8}$
 $=10900$[A] 10.9[kA]
遮断器の定格遮断電流の最小値は、$I_S$の直近(真上)の12.5[kA]となります。
答えは (2)

平成17年(2005年) 電力 問16

容量 15[MV・A]、変圧比 33[kV]/6.6[kV]、百分率インピーダンス降下が自己容量基準で 5[%]であるA変圧器と、容量 8[MV・A]、変圧比 33[kV]/6.6[kV]、百分率インピーダンス降下が自己容量基準で 4[%]であるB変圧器とを並行運転している変電所がある。これについて次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、各変圧器の抵抗とリアクタンスの比は等しいものとする。

(a) 12[MV・A]の負荷を加えたとき、A変圧器の分担する負荷[MV・A]の値としい、正しいのは次のうちどれか。

(1) 4.8 (2) 5.3 (3) 6.7 (4) 7.2 (5) 7.8

(b) 並行運転している2台の変圧器が負担できる最大負荷容量[MV・A]の値として、正しいは次のうちどれか。

(1) 20 (2) 21 (3) 22 (4) 23 (5) 25

平成17年(2005年) 電力 問16 解説

(a)
自己容量基準で$\%Z_A$が5%
自己容量基準で$\%Z_B$が4%
2台の変圧器は自己容量基準の百分率インピーダンスがズレています。
基準容量をあわせます。
B変圧器(8M・VA)をA変圧器(15M・VA)にあわせます。
$\%Z_A=5$ [%]
$\%Z_{B1}=4×\displaystyle \frac{15}{8}=7.5$ [%]
A変圧器が負担する負荷を$P_A$とすると
$P_A=12×\displaystyle \frac{7.5}{5+7.5}$
 $=7.2$ [MV・A]
答えは (4)

(b)
自己容量基準の%Zが小さいB変圧器が先に負荷容量がいっぱいになります。
B変圧器の容量8[MV・A]を限界まで使います。
$P=8+8×\displaystyle \frac{7.5}{5}=20$ [MV・A]
%Zが7.5%のB変圧器の負担が8[MV・A]なので、%Zが5%のA変圧器の負担は反比例するから
$8×\displaystyle \frac{7.5}{5}$ になってます。
答えは (1)
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